〈3〉 『走る』と『歩く』の違い
走ることの特徴は「同時に左右の脚が空中に浮いている瞬間がある」ということです。歩くときは、必ず左右どちらか一方、または両方の脚が地に着いています。走ることでスピードはアップし、1歩で進む距離も大きくなります。これは、蹴り出しのときに大きなパワーで前方と上方の両方に向かって地面を蹴るからです。とても大きな筋力を使うぶん、関節の負担も大きくなります。
パワフルに蹴り出した脚は着地するとき、空中から地面に叩きつけられます。着地のときに足にかかる負担も歩くときに比べて、はるかに大きくなります。
また、走るときは頭の位置の上下動や、左右の揺れも目立ちます。歩くとき以上に腹筋を意識して、胴体を安定させないと、スピードが出せないのみでなく、疲労やケガにもつながります。スピードが出ると、上体の前傾が大きくなります。前傾姿勢を保持するためには、強い腹筋が望まれます。
走るときは、腕と肩の動きも見逃せません。ヒジをしっかり曲げて、ある程度は高い位置に維持する必要があります。そして、素早く前後に腕を振れるようにします。ヒジは真っ直ぐ後方に引くように、やや大きく強く振ります。前方に振るときは、軽く握ったこぶしを、歩くときよりやや高めの、アゴの高さくらいまで上げるように振ります。
このように全身の細部を整えると、速くラクに長距離を走れるようになります。